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交通事故 後遺障害

交通事故で傷害を負って治療しても事故前の状態に完全に体調が戻らない場合があります。

自賠責保険は、このような場合に、一定の要件が満たされている症状については、後遺症と認定して補償金を出すシステムになっています。

(後遺症の重度に応じて1級から14級の等級が分かれます)

なお後遺症の認定を受けるには医師の作成する後遺症診断書を添えて認定申請をする必要があります。

自動的に後遺症の認定が出るわけではないので注意が必要です。

なお後遺症の認定申請を出しても必ずしも納得のいかない判断が出ることもあります。

このような場合は、判断に対して異議申立をすることによって再度審査してもらう事もできます。

さらに異議申立しても異議が認められなかった場合には、さらに自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理の申立をすることも可能です。

後遺症認定に不服な場合の対応

事故の傷害治療が終了した後に後遺症が残ると後遺症診断書を医師に作成してもらって後遺症認定を申請することになります。

この結果、非該当という回答を含めて後遺症の等級が出ることになりますが、この結果に不服であれば後遺症認定に対する異議の申立をすることになります(なお異議の申立をせずに損害賠償裁判で後遺症の鑑定申請をする方法も考えられますが、鑑定費用の負担を考える必要があります)。

異議申立をすると異議申立に対する回答が出ますが、更に、回答に対して異議の申立をしたい場合には、別の機関(財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構)に対して紛争処理の申請を行うことになります。

後遺障害認定に対する異議申立が認められた事例

平成18年、直進している原付(被害者)と右折してきた自動車(加害者)が衝突するという交通事故がありました。

加害者が加入していた任意保険会社はAでした。

しばらくは、被害者は、任意保険会社から治療費を支払っもらいながら、治療を受けていましたが、途中、加害者の刑事事件の方が不起訴(起訴猶予)となりました。

その後、平成19年、治療継続中に、被害者から示談交渉の依頼がありました。

平成19年、不起訴となった刑事事件について、加害者があまりにも不誠実な態度をとり続けていたので、代理人となって、検察審査会に申立をしました。

平成20年には、被害者に対する治療が一段落したため、その症状を固定して、自賠責保険会社に対して、後遺障害の等級申請を行いました。

検察審査会への申立については、不起訴不当との決議を出してくれ、その後、検察による再捜査が行われた上で、加害者は公判請求(起訴)されました。

この刑事事件はすぐに終わるだろうと考えていたところ、加害者は、突如、刑事裁判で無罪を主張したため、その裁判が長期化してしまったが、平成21年にはようやく有罪判決が確定しました。

他方、自賠責保険会社への後遺障害の等級申請の方も、これまた順調にいかず、極めて低い等級(14級)の判断が示された。

そのため、被害者の主治医に相談し、主張のポイントを整理して、後遺障害認定等級に対する異議申立を行ったところ、希望していた等級(10級)の等級を獲得することが出来た。

こうした経緯を辿り、ようやく加害者の任意保険会社と示談交渉をすることとなりました。

後遺症の等級変更(非該当から14級12級に変更)事例

自賠責の事前認定で非該当とされ裁判になったケースで、裁判で14級が認められることがありますが、

①症状が一貫している
②将来にわたって後遺症が残存すること
③常時性があること④画像の根拠(経年変化含む)
⑤神経学的所見(検査結果の異常。画像が無い場合)があるケースでは可能性があります。

さらに自賠責の事前認定ではダメでも神経学的所見と画像の改めて慎重な読み方によって裏付け根拠として認めてもらえる可能性もあります。

裁判官は、自賠責のように強い他覚的所見の存在を要求しないように思われます。

なお裁判所は認定において

①事故状況(大きい事故か)
②受傷したときの状況(腰をシートで強く打ったなど)
③初診時の診断内容
④治療経過(トリガーポイントの注射を打っているなど)
⑤固定時の内容
⑥固定後の通院状況など

を総合考慮して判決において認定しているようです。

1級3号の認定を受けた少年について1億7600万円の賠償が認められた事例

被害者は幼い子どもで、加害者側の一方的過失により、頭部に致命的な傷害を受けましたが、奇跡的に命を取り止めました。

しかし被害者少年は、生涯、人工呼吸器なしには生命を維持できない体となってしまい、被害者のお母さんも、被害者少年のそばを離れることができなくなりました。

後遺障害1級3号の認定を受け、自賠責保険より3000万円を受け取ったものの、任意保険会社の和解案は約7000万円という低い金額でした。

そこで、交通事故紛争処理センターに申立をしました。

保険会社側は、将来の介護費用、家屋の改造費用、将来の介護用品費用の必要性、金額について争ってきましたが、紛争処理センターは当方の主張を全面的に受け入れてくれ、1億7600万円の支払いを命じる裁定をしてくれました。

既往症の減額割合が減少して損害賠償金が200万円増加した事例

依頼者は、交通事故に遭い(依頼者に過失なし)後遺障害の認定を受けました。その後、保険会社の代理人弁護士から損害賠償額の提案をされましたが、その金額は、依頼者の既往症を原因に(損害の拡大が被害者自身の事故前からの基礎疾患に原因があるとして)減額がなされていました。

依頼者に既往症があり、損害拡大に影響したことは間違いなかったため、一定額の減額はやむを得ない状態でした。

しかし、粘り強く交渉した結果、減額の割合が下がり、損額賠償額を200万円近く増額することができました。

後遺障害等級認定における労災と自賠責の不思議

通勤途中の交通事故で後遺症が残った場合、労災保険にも自賠責保険にも後遺障害等級の認定申請をすることができますが、労災保険では後遺障害等級が認定されたのに、自賠責保険では認定されないというケースがあります。

労災保険と自賠責保険は同じ等級基準を用いていますので、本来であれば労災保険が後遺障害等級を認めれば自賠責保険でも等級が認められるはずなのですが、そうならない場合が実際には多いのです。

これは等級基準は同じでもその認定審査が自賠責保険の方が厳しいということです。